競って生態系を保全する日が、いつか来る?①

 

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写真は、青森県奥入瀬渓流です。

降った雨は、落ち葉が大量に

敷き詰められた土壌の中を、

ゆっくりと浸透し、川へ流れ出る。

そして、激流と呼べるほど

強い流れを生んでいる。

目の前で見ている激流が、

ゆっくりとしみ出た水滴の集まり

だというギャップに

自然の時間・空間スケールの

大きさに驚かされます。

 

さて、今回は、いつもとは少し

毛色の違う話をしようと思います。

 

僕は生き物や自然が好きで、

今ある生態系を守りたいと思いますが、

もちろん便利な世の中に

なってほしいとも思うので、

開発を止めてほしいとは言えないですよね。

でも、開発をしながら、

少しでも生態系を守れるような、

そんな未来が来るはずだ、と

少し期待しています。

その中で、特に「企業」の役割が

大きくなっていくと思っています。

 

前半は、環境保全に対する企業の

取り組みについて現状を話し、

後半は、将来的なことを予想しながら

話していきます。

 

1997年に、COP3で京都議定書が採択され、

温室効果ガスの排出量について、

国ごとに数値目標が決められました。

 

2015年には、国連サミットで

「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、

世界の貧困や飢餓、差別をなくすことや、

クリーンなエネルギーを確保すること、

海や陸の自然を守ることなど、

世界は、あらゆる観点から持続可能な世の中を

目指すことを決めました。

 

また最近は、国だけでなく、多くの企業が、

その事業が及ぼす環境への影響を気にしています。

その証拠に、企業は、事業による

温室効果ガス排出量の削減や、

資源のリサイクル率向上など、

環境問題や、また社会問題に取り組み、

それを発信していますね。

(環境保全が第一の目的でないかもしれません。

そういう姿勢を見せないことが問題。

だからやる。という印象です。。。)

 

さらに近年、世界では金融安定理事会が

「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」

を組織しました。

気候変動は、企業の事業や経営の

リスクになる可能性があります。

例えば、気候変動により、漁獲量が落ちたり、

植物が育たなかったりと、

資源を安定して確保できなくなる場合に、

経営難に陥る企業が出てきます。

そこでTCFDは、

(あくまでも金融の安定を目的として、)

事業や経営に対する、気候変動のリスクについて、

企業に情報開示を推奨しています。

そして、そのリスクを避けられるような

低炭素社会へ移行できるよう、

企業に働きかけています。

 

将来的な気候変動やら、なにやらで

調子の悪い会社が増えないように、

リスクがないか、自分で調べて、予測して、

事前に対策を打て、ということですね。

 

これに、日本の大企業も取り組んでいます。

例えば、将来的に気温が+〇℃上昇する場合、

△△という、環境に配慮した商品の

需要が□%高まるが、

それを供給するには、

材料や設備が××%不足する。

といった定量的なシナリオ分析をしている。

こういった分析結果の報告というのは、

これまでの単なる慈善活動報告、

CO2排出削減量の報告といったものより、

一歩進んだ内容だと思います。

 

ただ企業は、なぜ、まじめに

このような情報開示をするのでしょうか。

たとえTCFDが推奨していようと、

無視することもできます。

 

企業側の動機は、もちろん事業を持続的な

ものにさせたいということもあるでしょうが、

むしろ、投資家の目を気にしていると思います。

 

投資家はなんといっても、お金を持っていて、

事業を推進する力、経済を動かす力があります。

その代わり、お金を賭けるわけなので。

事業の持続可能性を厳しくチェックします。

したがって、企業は、将来的なリスクを把握し、

きちんと対策を打てないと、

投資の対象にしてもらえなくなってきます。

結果的に、持続可能でない事業は

継続させづらい世の中になっています。

 

一方で、もちろん消費者の存在も強力です。

消費者もプラスチック製品の使用を控えたり、

それを消費者間で呼びかけたり、

持続可能な商品を好みます。

特にB to Cの企業は、評判が大事と思うので、

消費者の関心も無視できないと思います。

 

このように、企業には、

事業を持続可能な範囲で行うことへの圧力、

さらに、持続可能であることを

示すことへの圧力がかかっています。

そこで、持続可能性を示すための、

色んな認証制度が誕生しています。

聞いたことあるものを載せます。

(いま、こういう認証制度は、乱立している印象です。

たまたま知っているものだけ載せます。)

 

「再エネクレジット」

再生可能エネルギーの使用により、

CO2排出量を削減した場合に、

それをクレジットとして

認証してもらえる制度。

(頑張った分を証明するもの

&他の頑張り足りない人に売れるもの)

 

エネルギーの調達では、例えば、Appleは、

自社保有の再エネ由来の発電や、再エネ投資により、

工場・オフィスの電力を100%再エネで賄っていたり、

リコーは、電気代が多少割高になろうとも、

事業に使う電力を、

再エネ由来のものに切り替えたり、

企業の関心の高さがうかがえます。

一時的に投資が必要であっても、

それでもやる価値があるんですね。

 

「水産エコラベル」

持続可能な水産資源の利用に取り組んでいる、

漁業や養殖業に対する認証。

中には、違法労働や違法漁業をする業者を

利用していないことを示す認証もあったと思います。

 

こういった認証制度が誕生するのと

時を同じくして、産地偽装を防ぐために

ブロックチェーンというデータ管理技術が

役立つことが分かってきました。

例えば、電力や水産資源が、

どのような経路で調達されたのか、

そのなかに持続可能でない

調達手段があるかないか、

ということを信頼できる方法で

(偽装できない方法で)

記録できるようになりました。

 

整理すると、

事業が持続可能かどうかを示したければ、

そのための材料や資源が持続可能な方法で

調達されているかを調べて、

それを証明する認証をもらえばよい。

さらに、調達経路を記録・管理できる

システムも整っている。

そんな世の中になっています。

 

投資家は、企業の事業が持続可能なものか

常にチェックしていて、

企業は、事業が環境に及ぼす影響を

隠すことができず、むしろ積極的に

開示していかないと生き残れなくなっている。

たとえ、一時的に儲けが減るとしても、

企業はそのような選択をするしかない、

のだと思います。

こういった風潮が強まることは、

生態系の保全のために、

非常に大きな意味をもつと思います。

 

この歯車の中に、環境保全がうまくはまる、

つまり、人間の活動により、

もし何かしらの資源を生態系から得ているなら、

生態系が長く保全される方法が選ばれる、

というのが、僕が思い描いている展開です。

 

ただ、現状は、エネルギー(CO2排出量)や

水産資源(生物量)というように、

認証の対象が、生態系を構成する

要素の単体に留まっています。

生態系全体を保全するというレベルまで、

認証が追いついていない印象です。

企業が生態系全体を保全したところで、

それを証明する手立てがない、

という状態です。

 

さて、ここまで、現状について

かなりまじめに話してきました。

写真がなく、文章だけでこんなに

長く話すのは性に合わないので、

一旦ここまでにして、

後半の「今後の話」については、

②で話すことにします。